合気道における礼法

元本部道場師範 八段 藤田昌武

 

 人間素直な心で礼を実行する事、これほど快いことはありません。

 武道は礼に始まり、礼に終わると申します。礼の根元は、洋の東西を問わず、相手への
尊敬と感謝の気持ちの表れであり、また心のあり方を示す体の動きであります。

 合気道では、礼は稽古時において自然に身に付くように進んで実行するよう稽古してお
ります。

 まず、動作による礼としては、おじぎですが、立礼と座礼がありますが、合気道では正
座(屈膝座法のこと)からはじまる座礼が主です。

 道場における礼として三礼、すなわち創立者への礼、師範への礼、稽古相手への礼、が
行われています。また、立っての行動は「すり足」、座っての移動は跪座(つま先立って座った姿勢)による「膝行法」を訓練して」おります。
 稽古中の相手とのあいさつ礼は、日本語ではじめに「おねがいします。」稽古で技をほ
どこしたときは、「参った」または相手が手足を使い、二度以上身体またはタタミを打って
相図します。終わりには「ありがとうございました」をとりかわしています。
 あいさつは、心を開いて相手に迫る、人間関係にとって基本中の基本だと思います。
 また、身だしなみとして、清潔な道着の着用とか、正しい道着の着付け方、道具類の取り扱い方などに注意を払っています。

 武の心とは、他と争わずにすますことにあると考えますが、合気道の考え方、稽古法自
体が礼にかなったものと見ています。

 稽古を繰り返す事によって、日常生活において身に付くように心がけております。