合気道の心

       合気道の心                            

          

         元本部道場師範 八段 藤田 昌武

 

 

 武道の真の目的は相手を倒すための武術としてではなく、

 

「わざ」を磨き、「こころ」を練る人間形成の鍛練法として

 

広く多方面にも推奨されております。 

 

合気道には勝ち負けの試合がなく、競技スポーツと違い、勝

 

利のための能力というより、技を学び過程を尊び、ひたすら

 

技の繰り返し反復稽古をして、己を磨き内面の充実を計る稽

 

古法に特徴があります。合気道は、相手の暴力のみを制し

 

て、相手の生命を殺傷いたしません。まったくの守りの武道

 

です。人間の生命尊重の時代に最もふさわしい武道といえま

 

す。人と争わず、自然を損なわず、力で臨まず、対すれば相

 

和す、宇宙と和合を目指す愛の武道、それが合気道です。日

 

本ばかりでなく、世界各地に広がっているのは、合気道の根

 

本精神に大きな共感を得ているからと申せましょう。合気道

 

が世の中に期待されればされるほど、二十一世紀に大きな役

 

割をはたすのでありましょう。人間にとって、たった一つし

 

かない生命を最高に生かし育てるためにこそ、私たちは合気

 

道を稽古しているのです。